音が聴こえる嬉しさを共に味わう
受け持っている個人レッスンの生徒さんに
80代の方がいます。
自粛期間以降、しばらくお会いできずにいましたが、
今日久々にレッスンを受けに来て下さりました。
私はてっきりこのご時世だから、しばらくお休みだったのは、
やはり心配なのだろうと思っていたのですが、そうではありませんでした。
耳の聴こえが急に悪くなってしまい、
レコードやCDで好きな音楽を聴こうとしても
高音が金属音のように聴こえて、全く音楽を楽しめなくなってしまった・・・と。
だから笛も楽しめなくなってしまったのかもしれないとずっと不安で吹けなかったそうです。
それを聞き、今日は自分のやろうとしていた指導は一切やめて
「とにかく好きな曲を一緒に吹きましょう!!アンサンブルするから。」
と声をかけました。
吹いたのは、その方が大好きなアメイジンググレイスやG線上のアリア・・・
画用紙に丁寧にコピーした楽譜を貼り、
何十冊も自分で手作りした冊子をそっと鞄から取り出し
「何も練習してないから、吹けないかもしれませんがすいません・・・。」
と言って不安気に吹き始めました。
吹き進めるに従い、その方の顔がどんどん明るくなっていく・・・
「あぁ・・・やっぱり音楽いいなぁ~・・・聴こえる・・・!!」
目の輝きが以前のように戻っていく姿を目の当たりにし、自分も言葉にできないような嬉しさを味わった瞬間でした。
生音は、CDやレコードとは振動も周波数も違うので、
その方の耳にも、笛の音はしっかり響いてくれたようです。
こういう瞬間を見れることは、講師冥利に尽きるなぁ・・・。
笑顔で「また練習する!」と言って帰っていきました。
何歳になっても、自分が好きだと思うことは、
諦めずに続けて欲しい・・・。
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